1.概要

近年、地球温暖化などの環境問題が議論され、省エネルギー技術として高効率のモーターの研究・開発が行われています。

今後、EVや飛行機といった移動体への適用が広がっていくと考えられていますが、移動体はスペースが限られるため、産業用モーターと比べて様々な制約がかかります。

小型化、高効率化、高出力化、低騒音などの移動体への適用の際の課題を解決する上で、モーターに使用する磁性材料が重要になります。

2.歴史

モーターに使われる磁性材料は、主に永久磁石などの硬磁性材料と電磁鋼板などの軟磁性材料に分けられます。

モーターの開発は1830年代に始まり、1900年初めに直流モーター、同期モーターなどが製品として市場に出回るようになりました。1900年に電磁鋼板が発明されますが、それ以前の磁心は、純鉄や炭素含有量の低い鉄鋼が用いられていました。

1920年代に熱間圧延電磁鋼板が、1950年代に無方向性冷間圧延電磁鋼板の製造が始まり、永久磁石を使ったモーターが市場に出回るようになったのは1980年頃からです。

1970年代のオイルショック後の省エネルギーへの要求に対し、フェライト磁石を用いたブラシレスモーターが実用化され、現在は、アルコニ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石などが開発されています。

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    3.種類

    モーターに使われる磁性材料の主体は強磁性材料ですが、強磁性材料を分類すると硬磁性材料と軟磁性材料の2種類に分類されます。

    3-1.硬磁性材料

    硬磁性材料の特徴は、安定な高い磁気エネルギーを出せることです。その代表である永久磁石は外から動力を与えなくても磁気を持つ材料で、その高い磁気エネルギーが様々な用途に使われます。

    吸引力や吸着力、もしくは反発力を利用したものから、電気エネルギーを機械エネルギーに変えたり、機械エネルギーを電気エネルギーに変えたりします。

    モーターに使われる硬磁性材料としては、アルコニ磁石、フェライト磁石、希土類磁石などがあります。ネオジム磁石はEV、HVの駆動用モーターとしては特に重要な永久磁石材料です。

    3-2.軟磁性材料

    軟磁性材料は、EV、HVのモーターのステータ、コイルやトランス、電源などの電気機器の磁心、磁気ヨーク、磁気シールドなど多くの用途に用いられています。

    電気機器は小型、高出力、高効率なものが求められており、そのために軟磁性材料は小さな磁界で高い磁束密度が必要となります。

    モーターに使われる軟磁性材料としては、大型モーター用の電磁鋼板、小型モーター用のパーマロイやフェライト、近年注目されているナノ結晶軟磁性合金、アモルファス合金などがあります。

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    書籍『モータ設計のための磁性材料技術』

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