1.ベクトル制御の概要

ベクトル制御とは、電流制御法のことでモーターの制御法の一つです。ベクトル制御では、トルクを発生する電流成分と回転子に磁束を発生させる電流成分とに分けて考え、それぞれの電流成分を独立に制御します。

モーターの回転磁界の磁束の方向と大きさをベクトル量として制御できるため、ベクトル制御と呼ばれています。

<ベクトル制御のメリット>

  • 省エネかつきめ細かなトルク制御が可能
  • モーターの回転を低速から高速まで効率良く制御可能

<ベクトル制御のデメリット>

  • 永久磁石が必要
  • 駆動回路が煩雑
  • ソフトウェア開発が必要
  • パラメーターの設定が必要

ベクトル制御は、モーターの回転を低速から高速まで効率良く制御できる優れた技術です。特に低速でのスムーズなモーター制御にはベクトル制御がかかせません。
しかし、モーターの特性をインバーターに伝える必要があり、モーターのパラメーターを設定しなければならないのが難点です。

<ベクトル制御の用途の広がり>

従来は、性能が重視される産業分野においてベクトル制御の研究・適用事例が先行していましたが、近年の半導体プロセスの進歩により高性能な演算子(マイコン)が低価格で手に入るようになりました。

これにより、高度な制御が、例えばエアコンなどの安価な家電分野のモーター制御にまで適用できるようになり、ベクトル制御の適用範囲が大きく広がりました。

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    2.永久磁石同期モーターにおけるベクトル制御

    <概要>

    近年、永久磁石を用いた同期モーターが様々な分野に適用されていますが、従来のモーターに比べて永久磁石同期モーターは非常に高効率な運転が可能です。その高効率な性能を引き出すための制御方法としてベクトル制御が用いられています。

    <永久磁石同期モーターにおけるベクトル制御のメリット>

    永久磁石同期モーターのトルクは、回転子の永久磁石および鉄と固定子のコイルの磁束の吸引反発力によって発生します。
    コイルの磁束は、流れる電流によって制御できるため、モーターのトルクを制御するためには、3相のコイル電流を制御する必要があります。

    しかし、コイルに流す電流は3相ですが、トルクを制御するためには、回転子の位置に対する磁束方向を決める必要があり、両者の関係性が分かりにくいです。

    この点を非常に簡単に考えることができるのがベクトル制御です。ベクトル制御は、3 相の電流をトルクに関係する磁力方向の電流に変換して制御することができます。

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