モーターの制御とは

1.モーター制御とは何か

モーター制御とは、モーターを目的に合わせて動かす制御技術です。モーターを単に回転させるだけであれば、駆動電源があれば回転させることは可能です。
しかし、実際に家電製品や自動車等でモーターを用いる際には、ただ回転させるだけではなく、必要に応じて回転速度や回転方向を変化させる必要があります。そのためには駆動回路、制御回路や制御方式などが必要になります。

<モーター制御に必要な要素>

駆動回路 制御回路 制御方式
駆動回路は、モータードライバーとも言います。
モーターを駆動・制御するデバイスのことであり、モーターに流す電流量を決定したり、電流のON/OFFを切り替えたりしながらモーターを回転させます。
制御回路は、コントローラーとも言います。
センサーやスイッチから信号を受け取り、それを駆動回路に伝えることでモーターの回転速度などを制御する回路のことです。
制御方式とは、モーターの精度要求に対して、具体的に用いる制御方法のことです。
モーターの種類、必要な回転速度、回転方向などによって、どの制御方式を使用すれば良いのかは異なります。

2.モーター制御方式の種類

モーターの制御方式には、代表的なものでPID制御、PWM制御、ベクトル制御、マイコン制御などがあります。どの制御方式が最適かはモーターの種類などによって異なります。

<PID制御>

PID制御とは、フィードバック制御の一種であり、自動制御方式のことです。操作対象が一つで、目標値と操作量に比例関係がほぼ成り立つ場合に使用できる制御方法です。
P(比例制御)、I(積分制御)、D(微分制御)の3要素を組み合わせて制御し、PID制御を用いることでモーターのスムーズな制御が可能になります。

<PWM制御>

PWM制御とは、高速スイッチングにより電力を制御する方式のことです。スイッチのONとOFFの繰り返しを行い、出力される電力を制御します。
PWM制御は環境保全や省エネの観点から、エネルギー効率のより良い方法を模索する中で生まれてきた制御技術です。

<ベクトル制御>

ベクトル制御とは、トルクを発生する電流成分と回転子に磁束を発生させる電流成分とに分けて考え、それぞれの電流成分を独立に制御する制御方式のことです。ベクトル制御は、特にモーターの低速回転時の制御には効果的な制御方式です。

<マイコン制御>

マイコンは様々な電子機器において、ハードウェアの制御を行うものであり、マイコン制御ではあらかじめ設定されたプログラムに基づいて制御します。モーター制御に用いることで細かい回転速度や回転方向の制御を行うことが可能です。

3.モーター制御の詳細