- モーターの制御 -スイッチング制御とは(PWM制御とVFM制御)

1.スイッチング制御とは何か、その原理と特徴

スイッチング制御とは、スイッチのONとOFFのみで制御することです。モーターの回転の場合、スイッチをONにした状態では、モーターは最大限のトルクで加速し、スイッチがOFFの状態では、減速しやがて停止します。

このONとOFFを微小時間で切り替えることで、モーターは一定速度で回転し続けることができます。
スイッチング制御にはPWM制御とVFM制御の2種類があります。

2.PWM制御とは何か、その原理と特徴

<概要>

PWM制御とは、高速スイッチングにより電力を制御する方式のことです。スイッチのONとOFFの繰り返しを行い、出力される電力を制御します。

一定電圧の入力から、パルス列のONとOFFの一定周期を作り、 ON時間幅を変化させます。早い周期でスイッチングを行うことで、ONのパルス幅に比例した任意の電圧が得られます。

これは、増幅素子のONとOFF状態が最も損失が少ない(中間状態は損失が多い)ことを利用した電力制御方式です。

<PWM制御の発展>

PWM制御は、環境保全や省エネの観点から、エネルギー効率のより良い方法を模索する中で生まれてきた制御技術です。

半導体の微細製造技術の発展により、非常に高速なスイッチ動作が可能な素子が実用化され、モーターやオーディオアンプ用途などでも PWM制御が使用されるようになりました。

この高速PWM制御により、従来のリニア制御に比べ大幅に熱損失を減らすことができ、部品や装置の低消費電力化と小型化に大きく貢献しました。

<PWM制御の用途>

インバーター回路、モーター制御、オーディオアンプなど

PWM制御は、インバーター回路で広く使用されている技術ですが、近年はモーター制御、オーディオアンプなどの分野にも広く使用されています。
モーター制御の場合は、インバーター回路でPWM制御のONの時間幅を連続で変化させることで、モーター駆動に最適な交流電圧を作ることができます。

<PWM制御の欠点>

PWM制御の際は、インダクタンスの大きさを考慮する必要があります。モーターの場合、コイルの巻線が長いとインダクタンスが大きくなりますが、この場合スパイク電圧が発生するため、スパイク電圧を抑える必要があります。

<PWM制御とVFM制御の比較>

PWM制御(パルス幅変調制御) VFM制御(パルス周波数変調制御)
スイッチング素子のON/OFFの切り替えにPWM信号を使用する。 スイッチング素子のON/OFFの切り替えにVFM信号を使用する。
効率(重負荷) 良い 悪い
効率(軽負荷) 悪い 良い
消費電流 多い 少ない
リップル電圧 小さい 大きい
過渡応答 良い 悪い
ノイズ対策 簡単 難しい

モーターの制御