コンバーターとは(EV制御技術)

1.コンバーターとは何か、その用途とインバーターとの違い

コンバーター(順変換装置)とは、交流の電流から直流の電流に変換する装置のことをいいます。
逆に直流の電流を任意周波数の交流の電流に変換する装置のことをインバーター(逆変換装置)といいます。

コンバーターには、他にも、直流から電圧や電流の大きさが異なる直流を作り出すDC/DCコンバーター、交流から周波数の異なる交流を直接作り出すマトリクスコンバーターなどがあります。

<コンバーターとインバーター>

コンバーター インバーター
交流を直流電流に変換する 直流を交流電流に変換する

<用途>

パソコン、テレビ、オーディオ機器などの電子機器、産業機器、自動車など

2.EV(電気自動車)におけるコンバーターの役割

<電気自動車におけるコンバーターの重要性>

電気自動車(EV)においては、駆動用にモーターを使用している関係で、一般的に数百Vの電圧を発生させる必要があり、そのためにリチウムイオン電池などのバッテリーを使用しています。

一方、制御用のECUは、従来からあるエンジン自動車と同じものを使用しているため、鉛電池で動作する12V系の電圧となっています。そのため、電気自動車(EV)では、バッテリーとECUとの間に、電圧変換システム、つまりコンバーターが必要となります。

<EV(電気自動車)で用いられるコンバーター>

現在、エンジン自動車の電源の多くには、スイッチング方式のコンバーターが採用されています。また、減速エネルギー回生システムには、非絶縁形コンバーターが用いられています。

一方、これから電気自動車(EV)の車載バッテリーなどに用いられるのは絶縁型コンバーターだと考えられています。

<EV(電気自動車)におけるコンバーターへの性能要求>

現在、自動車の電源には小型化、高効率化に対する要求などのため、スイッチング電源が利用されていることが多いです。今後、エンジン自動車がハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)へとシフトしていくにつれ、電源のさらなる小型化と高効率化が求められるのではないかと考えられています。

こうした要求に応えるために必要なのが、スイッチング電源の主要回路となる絶縁型コンバーターになります。

※スイッチング電源
スイッチング電源とは、直流安定化電源の一つです。効率良く電力を変換するためのスイッチングレギュレーターを搭載した電源装置のことを指します。
入力電力から希望の出力電力を変換する電力変換装置において、電力を変換、調整するためにスイッチング素子を用いています。

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書籍『パワーエレクトロニクスにおけるコンバーターの基礎と設計法』