1.ワイヤレス給電とは何か、仕組みと原理

ワイヤレス給電とは、高周波(AC)の電界、磁界、もしくは電磁波を介してワイヤレスに給電する技術であり、ユーザーは交流波を整流して直流(DC)を得るシステムがほとんどです。

ワイヤレス給電技術には、電波、特にマイクロ波と呼ばれる電波を用いる無線電力伝送技術があります。

また無線電力伝送が電力を発生⇒伝送するのに対して、電波として放送波や通信波など、我々の周囲にすでに存在している電波を収穫する電波ハーベスティング技術、そしてコイル対を用いて磁界を介してワイヤレスで電力給電する非接触給電技術など、様々なものが研究、商用化されています。

2.ワイヤレス給電の方式種類

ワイヤレス給電には大きく3つの方式があります。コイル電流により誘起される磁場を利用した、アンペールの法則とファラデーの法則による電磁誘導方式、共振器間の結合を利用した共鳴送電方式、マックスウェル方程式にのっとりアンテナを用いて電磁波を介してエネルギーを無線伝送する電磁波方式があります。

電磁誘導方式は一般にkHzオーダーで用いられることが多いです。共鳴送電は一般にMHzオーダーが用いられますが、kHzのシステムやGHzのシステムの研究例もあります。

共鳴送電はLCの共振器でも、誘電体共振器でも実現可能ですが、特にLとしてコイルを用いた方式は電磁誘導方式の理論の流れで説明することができます。

電磁波方式はアンテナ理論から高効率送電のためには高周波が必要となるため、GHz以上のマイクロ波が良く用いられ、その場合、マイクロ波無線電力伝送と呼ばれます。

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    3.ワイヤレス給電のEVへの応用

    EV、PHEVの普及には充電システムが不可欠ですが、接触式充電システムにはいくつかの課題があるため、それを解決する手段として安全、容易に充電できる各種ワイヤレス給電システムの開発が進んでいます。

    現在、実際のEV用に開発されているワイヤレス給電方式には、①電磁誘導式、②無線(マイクロ波)式、③磁界共鳴式の3方式があります。広く実際に使われているのが、電磁誘導式であるのに対し、近年磁界共鳴式の研究、開発事例が増えてきました。

    4.ワイヤレス給電のロボットへの応用

    今後、日本は超高齢化社会を迎えますが、介護の現場などで人体アシスト型ロボットは補助具として有効に活用できます。しかし、現在発表されているロボットは長い充電時間に対して短い時間しか利用できず、電池を頻繁に交換しなければならないという課題があります。

    そのような中で、ロボットの足から安定した電力が得られればロボットの有効性が飛躍的に高まると考えられており、期待が高まっています。またロボットへの給電の仕組みは電気掃除機、家具、ワゴン等への給電にも応用することができます。

    5.ワイヤレス給電の実用化に向けたメリット・デメリット

    ワイヤレス給電を実用化し世の中に普及させるためには様々な課題を解決しなければなりません。ワイヤレス給電では、電力エネルギーを空隙(エアギャップ)を介して伝送するため、基本事項として、電力伝送に適切な無線周波数および帯域の選定と、伝送を制御する制御通信周波数を選択することから始まります。

    その上で、①人体・生体を含む安全確保の側面、②既存の周波数利用サービスとの共存の側面、③機器ないしシステム相互間での接続性の保証の側面、④製品としてコストを含めた規格化の側面に分けて、規格化・標準化を並行して進めることが重要です。

    ワイヤレス給電は技術的に新しいだけでなく、その適用範囲も限りなく大きいと考えられます。この技術が世の中に普及し、生活の利便性を高めるとともに、産業の一角をなすために標準化は極めて重要です。一方で、ワイヤレスであるために、ケーブル方式と異なり周波数利用の規制を受けることになります。

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