車載用半導体センサーの概要
1.車載用半導体センサーの概要
センサーは外界の情報などを検出して、それを電気信号に変換し、制御入力情報もしくはフィードバック情報として、ECUに送る役割を担います。自動車には多くのセンサーが使われており、平均数十個から百を超えるセンサーが搭載された車も存在します。
2.車載用半導体センサーとは
センサーを検出部として機能する部分の構成材料で分類すると、金属、セラミック、半導体、高分子有機材料などに分けられます。
このうちシリコンを代表格とする半導体は、光を電流あるいは電圧に変換する光起電力効果や、圧力に対して抵抗値が敏感に変化するピエゾ抵抗効果など、独特のセンサー機能を持っています。
このため一般的には、このような半導体の物性を利用して、センシング部に半導体材料を使用したセンサーを半導体センサーと呼ぶことが多いです。
3.車載用半導体センサーの分類
代表的なものだけでも温度センサー、加速度センサー、回転センサー、圧力センサー、光センサーなどがあります。検出目的や検出対象など分類の方法も様々で、さらに細かく分類することもできます。
<主な車載用センサーの用途>
①圧力センサー
車の様々な制御のために最も幅広く用いられています。エンジン制御、変速機やブレーキなどの油圧機器の制御用として用いられています。
②加速度センサー
エアバッグシステムやESC(横滑り防止装置)などの車の挙動を制御する車両制御システムに数多く用いられています。
③回転センサー
エンジン、トランスミッション、車輪へとつながる動力系を中心に用いられています。
④光センサー
光量を検出する目的以外に、光量を検出手段としてそこから様々な物理情報を得る目的としても用いられています。ライト制御や、駐車支援システムなどに用いられています。
4.車載用半導体センサーに求められる要件
車載用半導体センサーは計測分野や航空機ほどの高精度は求められませんが、家電などの分野に比べると非常に厳しい性能が求められます。
<求められる主な事項>
- 耐熱環境に優れる(耐熱、耐湿、耐振、耐電磁環境など)
- 劣化がなく、長期間の使用に耐える
- 小型・軽量で、使いやすい(搭載性)
- 異なる機能を集積できる(複合化技術)
- 低コストである
- 消費電力が少ない
- 自己診断機能を有する
車載用半導体センサーの搭載環境は、温度、湿度、振動、被水、電気雑音などいずれも非常に厳しい条件になります。例えば、車室内に置かれるセンサーでも使用最高温度は100℃程度、エンジンに搭載されるセンサーでは150℃でも正常に機能することが求められます。
▽続きはこちら
書籍『車載用半導体センサ入門』