- モーターの種類 -ACモーターとは
1.ACモーターとは何か、その原理と構造・仕組み
ACモーターとは、交流モーターとも表されます。ACモーターを分類すると、整流子型モーター、同期モーター、誘導モーターに大別されます。
同期モーター、誘導モーターは、回転磁界により回転速度が決まります。
※回転磁界とは?
多相巻線に多相交流を加えると磁界が発生し、この磁界が一定速度で回転しますが、この発生した磁界のことを回転磁界と呼びます。
また同期モーターと誘導モーターには、AC100Vを電源とするモーターと、AC200Vを電源とするモーターとに大別されます。前者を単相モーター、後者を三相交流モーターと呼びます。
2.ACモーターの種類:整流子型モーターとは
整流子型モーターとは、ローターとして整流子型ローターを使うモーターのことを言います。高速運転が必要な分野で利用されており、電気掃除機、電動工具などが主な用途として挙げられます。
2-1.整流子型モーターの設計
整流子型モーターの設計の際は、下記の2点を考慮に入れる必要があります。
①変動する磁束によって発生する渦電流を、鉄心を絶縁積層して軽減する。
②電磁誘導による位相ずれが生じることで力率が悪化し、出力が減少する。
3.ACモーターの種類:同期モーターとは
同期モーターは、回転速度が同期速度と等しいモーターのことを言います。同期モーターの種類としては、リラクタンスモーター、ヒステリシスモーター、インダクタションモーターがあります。
3-1.リラクタンスモーターとは
リラクタンスモーターとは、回転子に強磁性の鉄心を使用し、永久磁石を使用しないモーターのことを言います。近年、パワーエレクトロニクス、マイクロコンピュータを用いた制御技術が進歩する中で、応用範囲が広がっています。
3-2.ヒステリシスモーターとは
ヒステリシスモーターとは、鉄心の磁気ヒステリシスを利用して回転力を得るモーターのことを言います。回転力が均等で、振動がないため、レコードプレーヤーやテープレコーダ用として使用されます。
3-3.インダクションモーターとは
インダクションモーターとは、固定子の得る回転磁界により、電気伝導体の回転子に誘導電流が発生し、滑りに対応した回転トルクを発生させるモーターのことを言います。複写機、記録計、自動カーテン、バルブ開閉などに使用されます。
4.EV用モーターとして
ACモーター(交流モーター)は、回転数やトルクなどを細かく制御できるため、走りや乗り心地にこだわった駆動が可能です。ACモーター(交流モーター)の中でもEVに主に使われているのは、小型・軽量化が容易で、高効率な同期モーターです。
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書籍『交流モーターの原理と設計法』