ナノカーボンとは/カーボンナノチューブとは

1.ナノカーボンとは何か、その種類と特徴

ナノカーボンとは、ナノサイズの非常に小さい炭素のことを指し、ダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノチューブ、フラーレン等様々な種類があります。ナノカーボン材料の発見、発展には日本の研究者が大きく貢献してきました。

またナノカーボン材料は非常に軽量であることから、導電材料、電池、トランジスタなど様々な分野への応用が期待されています。

2.ナノカーボンの歴史

炭素の同素体として黒鉛とダイヤモンドが知られていましたが、1985年に第三の同素体としてフラーレンがハロルド・クロトー、リチャード・スモーリーらにより発見されました。

その後、1990年にクレッチマーがフラーレンの大量合成法を発見したことをきっかけにカーボンナノチューブを見つかりました。2004年にはスコッチテープを使って黒鉛からグラフェンシートを取り出す方法を開発し、これによりグラフェンが発見されました。

3.ナノカーボンの種類・カーボンナノチューブとは

3-1.グラフェン

グラフェンとは、炭素原子が六角形に結合したハニカム構造の物質のことです。グラフェンが多層に重なったものがグラファイトとなります。2次元物質であり、熱伝導率や電気伝導性が非常に高いことで有名です。

3-2.カーボンナノチューブ(CNT)

1層のみのものを単層カーボンナノチューブ、2層重なったものを2層カーボンナノチューブ、それ以上重なったものを多層カーボンナノチューブと呼びます。

単層カーボンナノチューブは直径数nm、長さ数μmのものが一般的ですが、多層カーボンナノチューブは直径100nm、長さ数mmに及ぶものもあります。

熱伝導率や電気伝導性を有しており、円柱状のため機械強度が高いといった特長があります。カーボンナノチューブの合成法としては、現在はアーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相法の3つがあります。

カーボンナノチューブは、ポリマー複合材料、透明電極、センサ素子、ナノ電気機械素子、電池添加剤、トランジスタ、インターコネクトなどへの応用が期待されています。

3-3.ナノカーボンの種:フラーレン

フラーレンは60個の炭素から構成され直径約1nmの球状物質です。熱伝導率、電気伝導性は高くありません。フラーレンは、化粧品、潤滑油、添加剤、太陽電池材料、蓄電材料などへの応用が期待されています。

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書籍『新炭素材料ナノカーボンの基礎と応用』