インバーターとは
1.インバーターの概要
インバーター(逆変換装置)とは、直流の電流を任意周波数の交流の電流に変換する装置のことです。
逆に交流の電流から直流の電流に変換する装置をコンバーター(順変換装置)といいます。他にも、直流から電圧や電流の大きさが異なる直流を作り出すDC/DCコンバーター、交流から周波数の異なる交流を直接作り出すマトリクスコンバーターなどもあります。
<インバーターとコンバーター>
インバーター | コンバーター |
---|---|
直流を交流電流に変換する | 交流を直流電流に変換する |
<インバーターの必要性>
一般的なAC電源は交流の電流で供給されますが、多くの電気製品は直流の電流で動作するため、交流から直流に変換するコンバーターの方がインバーターよりも必要だと思われるかもしれません。
しかし、例えばエアコンや冷蔵庫などの電気製品は、モーターの回転で制御されますが、交流電流に対応したモーターはそれぞれの電流の周波数に応じてしか回転できません。
そのため、モーターが周波数に対応していない場合、最適な周波数に変換する必要があり、その際に、AC電源から供給された交流の電流を一旦直流に変換し、それを再度交流に変換するインバーターが必要となります。
<速度制御とトルク制御>
インバーターがモーターを制御する方法には、モーターの速度を目標とする値に一致させる速度制御と、モーターが出力するトルクを目標とする値に一致させるトルク制御の二種類があります。
速度制御の方が一般的ではありますが、トルク制御の方も電動機を発電機として使用した時に、その出力調節を行う際などに必要となります。いずれの制御においても、インバーターの役割が印可周波数と印可電圧の自動調節であることは共通です。
2.インバーターの活用
現在、インバーターはモーター駆動や再生可能エネルギーの系統連系に広く活用され、省エネルギーと低炭素化を実現する主要機器としての役割はますます増しています。
<代表的な製品>
- モーターの原理を扱う電気機器工学
- インバーターの主要部品であるスイッチングデバイスを扱う半導体工学
- 直流から交流を作る電力変換回路等の技術を融合した、いわゆるパワーエレクトロニクス
<インバーターを選定する際のポイント>
インバーターの選定にあたっては、まず対象モーターの出力定格に合わせて定格を決める必要があります。
次に対象モーターの種類を確認します。モーターとしては、安価な誘導電動機(IM) と高効率な埋め込み磁石同期電動機(IPMSM)が多いですが、現在市販のインバーターは一般的に、いずれのモーターも駆動する能力を有しています。
さらに高精度のベクトル制御が必要か否かの確認もする必要があります。インバーター自体の価格は高性能なものと一般的なものとで、それほど変わりません。
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