日産自動車と日立ビルシステム、軽電気自動車「日産サクラ」からの給電で 約15時間のエレベーター連続稼働を実証

更新日:2023.04.14

停電時のエレベーター利用を可能にするV2Xシステムの普及に向けた協創第2弾

株式会社日立ビルシステム(本社:東京都千代田区、取締役社長:光冨 眞哉、以下、日立ビルシステム)と日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:内田 誠、以下、日産)は、電気自動車からの給電で停電時のエレベーター利用を可能にするV2X*1システムの普及に向けた協創*2の第2弾の取り組みとして、軽の電気自動車「日産サクラ」のバッテリーからの給電で、日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を、外部給電が可能なバッテリー残量10%まで連続稼働させる実証実験を行い、14時間56分の連続稼働を達成しました。

日立ビルシステムは、今回の実証実験結果を踏まえ、2023年6月のV2Xシステムの販売開始に向け、詳細な仕様検討などを進めていきます。また、日産と日立ビルシステムは、V2Xシステムの普及に向け、今後も取り組みを推進します。

軽電気自動車「日産サクラ」(手前)からの給電の様子
軽電気自動車「日産サクラ」(手前)からの給電の様子

昨今、自然災害が頻発する中で、その影響で停電が発生した際にも、社会生活を継続できるようにするための対策に注目が集まっています。高層ビル・マンションなどにおいては、停電時にエレベーターなどの共用部設備が使用できなくなる事態を回避するため、非常時電源として蓄電池などを整備する動きが進んでいますが、導入コストなどが課題となっています。

このような背景の下、日立ビルシステムは、電気自動車の普及により、ビルの非常時電源として活用できる可能性が広がっていくことを見据え、停電時に、電気自動車と建物をつなぐV2X技術により、電気自動車から、エレベーターなどのビル設備に給電を行い、継続利用を可能とするシステムを開発*3し、実用化に向けて準備を進めています。

【今回の実証実験】

  • 実験目的:
    電気自動車の電力を利用した給電可能最大時間までのエレベーター動作確認およびエレベーターの実稼働データ計測
  • 使用車両:
    軽電気自動車「日産サクラ」(バッテリー容量20kWh、バッテリー残量10%まで外部給電が可能)
  • 使用エレベーター:
    日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」
  • 実験環境:
    6階建ての試験棟に設置されているエレベーターについて、稼働電力を電気自動車からの給電に切り替え、停電時に使用する低速運転モードにて、電気自動車のバッテリー残量が10%となるまで往復運転を実施(1階および6階でドア開閉、実利用を想定した重り搭載)
  • 測定項目:
    エレベーターの連続稼働時間および昇降回数、電気自動車のバッテリー残量

【実証実験結果】

実験開始から14時間56分が経過し、エレベーターの連続昇降回数が416回(往復)を数えた時点で、バッテリー残量10%に到達、エレベーターは安全に休止しました。本実験により、電気自動車「日産サクラ」からの給電で、約15時間エレベーターを連続稼働させられることを実証しました。

なお、同条件で「日産リーフe+」(バッテリー容量60kWh)を用いて外部給電が可能なバッテリー残量10%までエレベーターの連続稼働を行った場合の理論値は、連続昇降回数1,248回(往復)、連続稼働時間44時間48分となります。