短信レポート「デジタル技術の活用によるマテリアル産業競争力強化に向けて」を公表
―デジタル技術で切り拓く日本企業の勝ち筋とは?三つの方向性を提言―

図 デジタル技術の活用目的と産業競争力の強化に向けた取り組みポイント

NEDOは、TSC Foresight短信レポート「デジタル技術の活用によるマテリアル産業競争力強化に向けて」を、本日公表しました。
NEDOは国内の企業21社にヒアリングを行い、高い技術力を有している日本のマテリアル産業の強さの源泉や今後の課題、デジタル技術の活用動向について調査しました。

本レポートでは、日本のマテリアル産業の重要領域である高い付加価値を有する高機能品において、今後の継続的なイノベーションにつなげていくためのデジタル技術の活用について提言しています。また、デジタル技術の活用による、高機能品の市場ポジションの獲得や脱炭素・サーキュラーエコノミーに貢献する環境価値創出についても取りまとめています。

本レポートの活用で中小・中堅企業を含めたマテリアル産業に広くデジタルトランスフォーメーション(DX)推進への意識が高まり、マテリアル技術の競争力強化につながることを期待します。今後もさまざまな技術分野に係る調査・分析を通じて、世界で直面している社会課題の解決に貢献していきます。

1.概要

日本には世界市場で高いシェアを有するマテリアル製品が数多く存在しています。材料、部品・加工企業に代表される日本のマテリアル産業は、顧客企業からの厳しい品質要求に対応するため、企業間もしくは企業内で調整や試行錯誤を繰り返して、より高性能・高品質な製品を作りこんでいく“すり合わせ”と呼ばれる日本独自の開発手法で高い競争力を実現してきました。また、エレクトロニクスや自動車をはじめとする世界の主要産業では、これらの高機能品が最終製品価値の下支えに大きく貢献しています。

他方、海外企業はデジタル技術を駆使したサービス主体の付加価値創出によって、市場を拡大しつつあります。近年はグローバル市場の拡大に伴う競争激化や製品ライフサイクルの短期化、カーボンニュートラルへの貢献などが拍車をかけ、市場シェアが相対的に低下した日本の高機能品もあります。
日本でも、2021年4月に政府が策定した「マテリアル革新力強化戦略」でデータ駆動型研究開発の促進が掲げられるなど、高機能製品の競争力強化に向けてデジタル技術活用への期待が高まっています。今後は日本の勝ち筋となるマテリアル産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)※1の具体化が求められます。

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)はこうした動向を踏まえ、日本のマテリアル産業の強さの源泉や今後の課題、デジタル技術の活用動向について調査するため、国内のさまざまなマテリアル分野の企業21社にヒアリングを行いました。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)はこうした動向を踏まえ、日本のマテリアル産業の強さの源泉や今後の課題、デジタル技術の活用動向について調査するため、国内のさまざまなマテリアル分野の企業21社にヒアリングを行いました。
今後、本レポートが中小・中堅から大企業までの幅広いマテリアル産業で活用されることで、新たな高機能品創出からビジネスモデルまで幅広く、かつ有機的にイノベーションを加速させ、グローバルな視点での顧客企業へのソリューション提供を通して競争力強化の実現につながることを期待します。

TSC Foresight短信レポート「デジタル技術の活用によるマテリアル産業競争力強化に向けて」
TSC調査分析レポート「デジタル技術の活用によるマテリアル産業競争力強化に向けて」

また本日14時から、本レポートの内容とマテリアル産業界における各企業の取り組みについて講演するオンラインセミナー「マテリアル産業のDX ~デジタル技術で切り拓く日本企業の勝ち筋とは?~」を開催します。

オンラインセミナー2022年度 NEDO-モノづくり日本会議『TSC Foresight』オンラインセミナー マテリアル産業のDX ~デジタル技術で切り拓く日本企業の勝ち筋とは?~

2.「デジタル技術の活用によるマテリアル産業競争力強化に向けて」のポイント

日本のマテリアル産業のさらなる競争力強化を実現するために、日本の強みを活かした三つのデジタル技術の活用目的について取りまとめました(上図)。

・高機能品の更なる開発力強化
日本のマテリアル産業の重要な領域にある高い付加価値の高機能品は、今後も継続的に新たなイノベーションを生み出していくことが求められます。そのためには、計算科学やロボティクスなどのデジタル技術の導入が新たな製品開発の効率化や試作から評価までのリードタイムの短縮化を進める上で重要な役割になると見込んでいます。

・高機能品の市場ポジション獲得
高機能品の市場はニッチな領域にとどまるため、幅広い顧客の要求に対応した高機能品を迅速に量産することで市場ポジションを獲得していくことも重要です。そのためには、顧客企業へのソリューションにつながる高機能品の開発と価値提供を効果的に進めるために顧客企業との横断的な接点強化を実現するデジタル技術が重要になると予測しています。デジタルツイン※3による試作品製造・評価やシミュレーションツールの活用、あるいは潜在顧客とマテリアル企業とのデジタルによるマッチング機会の創出などが海外マテリアル市場への展開などによる市場ポジション獲得の効率化に寄与すると見込んでいます。

・環境価値創出
マテリアル産業においても脱炭素やサーキュラーエコノミーへの対応が求められています。環境負荷低減への貢献がマテリアル製品自体のみならずそれを用いるセット製品についても新たな付加価値を生むと見込まれており、デジタル技術を活用した環境負荷低減を定量的に測定、評価する取り組みを業界横断で連携して行う基盤構築が今後重要になると予測しています。

【注釈】
※1 デジタルトランスフォーメーション(DX)
DXとは単なるデジタル技術の導入ではなく、デジタル技術を活用した自社の経営・オペレーションの変革により、これまでの事業にはなかった新しい価値を顧客に提供することや、ビジネスモデル自体の変革を行うことです。
※2 環境価値
二酸化炭素(CO2)排出量やリサイクル率といった、環境負荷低減への貢献度を指します。
※3 デジタルツイン
v現実の世界から収集したさまざまなデータを、まるで双子であるかのように、コンピュータ上で再現する技術のことです。


3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 技術戦略研究センター 担当:大里
TEL:044-520-5150 E-mail:tsc-nanomat-u[*]ml.nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:鈴木、坂本、根本、橋本
TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press[*]ml.nedo.go.jp

E-mailは上記アドレスの[*]を@に変えて使用してください。

※新聞、TVなどで弊機構の名称をご紹介いただく際は、“NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)”または“NEDO”のご使用をお願いいたします。

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)



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