おわん型多面体マイクロ単結晶の均一かつ精密な成長制御に成功

雪やビスマス結晶のように、結晶には凹多面体形状で特徴付けられる「骸晶(がいしょう)」と呼ばれる一群が存在します。急速な結晶成長プロセスで形成される骸晶は、従来の緩やかな成長プロセスでは表出し得ない結晶面や複雑な形状を有しています。骸晶形成の精密な制御ができれば、結晶材料に潜在する新たな機能の発掘が期待できます。しかし、骸晶はその急速な結晶成長様式のために、形状や大きさ、配向性をそろえることは困難です。

本研究では、面キラリティを持つ共役系有機分子を基板表面で自己組織化させることにより、同一形状で均一サイズ、かつ一軸配向したおわん型多面体マイクロ単結晶(骸晶)の作製に成功しました。このおわん型マイクロ結晶は、基板表面にわずか10秒程度で一斉に形成します。また、溶液濃度の調整やキラリティの選択により、より複雑で精緻なおわん型多面体形状の結晶を形成することができ、得られた凹多面体マイクロ結晶は、実際に溶液を保持する微小な器として機能します。さらには、多環式芳香族炭化水素を模した結晶の敷き詰め構造の形成も可能です。

本研究成果は、分子の自己組織化により凹多面体マイクロ骸晶の形成を基板上で均一かつ精密に制御した先駆的な例であり、特に有機マイクロフォトニクス応用に向けた汎用性の高い有機マイクロ結晶形成戦略を提供します。本研究成果は、2022年8月5日(日本時間)に「Science」に掲載されます。


本研究は、科学技術振興機構 CREST「自己組織化トポロジカル有機マイクロ共振器の開発」(研究代表者:山本 洋平(JPMJCR20T4))、ACT-X「細胞トラッキングのための生体適合性レーザー発振子の開発(研究者:山岸 洋(JPMJAX201J))、日本学術振興会 科研費補助金 基盤研究A「光機能性ポリマー球体の高次連結による光学メタマテリアルの開発」(研究代表者:山本 洋平(JP16H02081))、新学術領域研究 π造形科学「様々な励起プロセスを介したπ電子球体への発光閉じ込めと共鳴発光の変調」(研究代表者:山本 洋平(JP17H05142))、特別研究員奨励費「自己集合化π共役ポリマー球体を利用した電界発光WGM光共振器の開発」(研究代表者:大木 理(JP19J20398))などによる支援を受けて行われました。

<論文タイトル>
“Synchronous assembly of chiral skeletal single-crystalline microvessels”

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