超薄板窒化ケイ素セラミックス基板の高絶縁耐圧を実証
-次世代モビリティー用モジュールの小型化に期待-

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)マルチマテリアル研究部門 セラミック組織制御グループ 中島 佑樹 研究員、福島 学 研究グループ長、周 游 主任研究員、平尾 喜代司 招聘研究員、日向 秀樹 研究グループ付らは、32 μmの超薄型基板窒化ケイ素絶縁放熱基板を試作し、同薄板の絶縁耐圧が次世代電気自動車に使用可能な水準にあることを実証した。

電力の変換と制御を高効率で行うパワーモジュールの基板については、放熱のため、薄板化が求められている。しかし、薄板化に伴い絶縁耐圧も低下するため、薄板基板の絶縁耐圧・機械的強度などの把握や現象の解明が不可欠である。焼結により作製した窒化ケイ素セラミックス基板は、次世代の絶縁放熱基板として注目されているにもかかわらず、その絶縁耐圧の測定事例が少ない。そこで、様々な厚みの超薄型窒化ケイ素セラミックス基板の絶縁耐圧を測定評価した結果、薄板化するにしたがい絶縁耐圧が低下するものの、50 μm以下の薄型基板では低下の程度は緩やかになり、32 μmの超薄型基板でも約2.8 kVの電圧に耐えることを明らかとした。この数値は、次世代電気自動車に必要な作動電圧850 Vよりも十分に高い値である。さらに、市販基板と比較し基板厚みが10分の1であることから放熱性は10倍程度向上する。

なお、この技術の詳細は、2021年12月1日(日本時間)にJournal of the Ceramic Society of Japan誌に掲載される。また、2021年11月26日~2022年2月28日にオンラインで開催されるnano tech 2022 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議で紹介される。

ポイント

  • 窒化ケイ素セラミックスの厚みと絶縁耐圧の関係を数10 μmの厚みまで検証
  • 超薄板窒化ケイ素セラミックス基板の高い絶縁耐圧を実証
  • 次世代電気自動車や太陽光発電などの分野で、電力の変換と制御を行うパワーモジュールの高出力化・小型化への貢献に期待
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