熱の流れに量子効果が与える影響の解明

ポイント

  • 量子系が熱源と接触している状況において、量子効果が熱の流れにおけるエネルギーロスにどのように影響するかの系統的な規則を理論的に明らかにした。
  • 得られた規則は、量子効果が量子熱機関における「摩擦」をどのように増減させるかに関するルールを明らかにしている。
  • 特殊な場合には、量子効果を用いてエネルギーロスのない熱の流れを作ることができる。
  • 発電機・エンジン・冷却器などを始めとした熱機関の、量子効果を用いた性能向上につながる可能性がある。

電気通信大学の田島 裕康 助教(兼任:JST さきがけ研究者)は、理化学研究所 開拓研究本部の布能 謙 特別研究員とともに、量子的な状態の重ね合わせが熱の流れにどのように影響するかの系統的な規則を理論的に明らかにしました。この規則によれば、適切な種類の量子重ね合わせを大量に用意することで、マクロな大きさの、エネルギー損失のない熱の流れを作ることができます。この効果を用いることで、少なくとも理想化されたモデルの上では、発電機・エンジン・冷却器などを始めとした熱機関の性能が大幅に向上することが分かりました。

この研究成果は、2021年11月4日(EST)付で米国科学雑誌「Physical Review Letters」オンライン版に掲載される予定です。また、特に重要な成果として「Editor’s Suggestion」とAmerican Physical Societyの「Featured in Physics(Synopsis)」に選ばれました。

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